◇◆◇◆雪が降っている。大きな重い雪が、空気の抵抗などものともせず、一直線に降っている。100メートル先の大きな煙突が、ぼうっと白くかすんで見える。その向こうの建物は、もう輪郭すら曖昧である。私の見える世界は、このまあるい100メートルの円のなかだけ。どこまで歩いてもしんと静かな、このまあるい円のなかだけ。