空虚。
しずく。



 飛散。

殺意というのは、

泉のように湧きあがってくるものだ。と。

そう認識していたはずなのですが、

ある日を境にそれは形を変えて、

自分の意図しない所に離れてしまったようです。


離れた、とはいっても、

私自身の歪んだ願望がなくなったわけではないですし、

むしろそれはエスカレートする一方なのですが。

なんだか、つかめなくなってしまった。

というのが正直な感想です。


あの人だけだ、と限定していた思いは、

時折「誰でもいい」という最悪な形に姿を変えます。


この左腕は、

もう自分自身の存在を確かめるための行為ではありません。

歪んでいく欲望の矛先なのです。


これだけですむならどれだけいいでしょう。


もう、私は満足出来ないのです。

痛みはいらないのです。

血と、肉が欲しいのです。

裂けた腹から見える内臓が欲しいのです。


それを止めるため、私は左腕に手錠をかけます。


離せ、と私が言います。

それを受け流そうと、無表情で応じる私もいます。

ただ、笑っている私もいます。


あれほど抱きしめ、執着していたはずのぬいぐるみを、

壁に叩きつけ、踏みにじります。

そして抱き上げ、再び愛しげに抱きしめます。


何をやっているんだ、と声をだせば、

違う!と否定する私もいます。


人間の形をしていたはずの私が、

バラバラに飛散して、想いだけが残っている。

そんな気すらして。


もう一度集めて、抱きしめて欲しいのですが、

こんな時に誰かを求めるのは、自殺行為でしょうから。

たとえ刃物を遠ざけても、

肉、食べたくなっちゃいますから、

噛み千切っちゃいますから。


涙も、声も、何も出ません。

残ってるのは、無表情だけ。


抑圧、するもんじゃないですね。

さっさと、やっちゃうべきでした。

そしたら、楽になれたのに。

2002年08月10日(土)
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