空虚。
しずく。



 モノトーン。

目覚めの一言が、「最悪だ」だった。

得体のしれない感じがずっと付き纏っている。

何度も、目が覚めた。

強烈な死の感じに耐えられなくなったから。

なのに、目を開ければその映像はどこにも残っていない。

再び眠りに落ちる。

また、目覚める。

同じだ。

そんなことをずっと繰り返して、朝になった。

まだ、付き纏っている。・・・最悪だ。


必死に昨夜の記憶を引っ張り出す。

手錠をかけた。机に座った。何か書いた。

紙に残っている文字。・・・書いたよな、確か。

それすらも、朧気。

自分の日記を開いて、昨夜何があったかを知る。

そうか、久しぶりにビデオ見てたんだ。

で、そのあと落ち着かなくなって・・・。

鮮明には覚え出せなくとも、

ぽつりぽつりと、映像が浮かんだ。


気持ちを切り替えようとシャワーを浴びて、

髪の毛を手ですくと、面白いように抜け落ちた。

手のひらに乗った黒い束を見て、苦笑する。

『はげしずく〜』

あの人のからかうような声が聞こえた。

『はげないもん、大丈夫だもん。』

交わすように呟いて、ちょっと笑った。

「・・・あの人、だけだな、私が私でいられるの。」

意地っ張りで、馬鹿で、すぐ突っ走るけど。

そんな自分でも、いーんでない?

冷静で、真面目な良い子よりも、ずっと楽しいや。

まだまだ上手く笑えないけど、

ちょっとずつ取り戻していけるよね。


・・・そう、私の頭から"死"が消えることはなく、

歪んだ妄想が消えることもまた、ないけれど。



『人間の人生はどこまでが定められたことで、
 どこまでを自分で支配できるんだろう?』

J.L.D

1991/08/14

2002年09月12日(木)
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