空虚。
しずく。



 道具。

好きな人が出来て。

身体を許して。抱いて、抱かれて。

実感したことが、ひとつだけあった。


自分のこころが、とても、冷めていた。

感じない、とかそんなんじゃなくて、もっと、奥底で。


彼に抱かれて、彼女を抱いた時は、

確かに嬉しかった。とても、感じた。


でも、大事じゃなかった。


「大丈夫だよ、襲われても。対処できるもの。」

虚勢でなく、本心からそう言えていた。

彼女は、寂しそうに笑った。

彼は、少し怒って私を諌めた。


けれど、本当に大事じゃなかった。そう、思えなかった。


突っ込まれても、銜えさせられても別に平気だよ。

相手は私に何も残せないもの。

感情消して、眺められるよ。嘲笑しながら。


汚されて、傷ついても洗えば体液も血も流れるし。

どうして、執着する事があるの?

所詮コレは、肉の塊で、ただの道具だというのに。

2003年05月12日(月)
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