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■ 空。
「何が欲しい」と問われれば、「 」と答える。 求めても求めても、満たされない。
その衝動に、少しだけ濁った物が混じる。
渇きが、とまらない。 去年も、そうだったな…
この時期の夜は、少しだけ私を狂わせる。
血に、破壊に、誘われるように…
浮かされた口調で、呟く。
「逝けよ」
闇夜が、誘っている。 空だけを映した瞳が、ぼんやりと見開かれる。 意図的に、感情を切り離した姿。
「コト」の前は、いつもそうだった。
「これ」が好きな自分を、どこかで否定していた。 知りたくなかった。
見るな。 そんな瞳で、私を見るな。
見ないで。 やめて、もう、嫌…
異なった人格が、私の中で徐々に離れた。
「私」は、なんだろう。 ゴミのように横たわる姿。 歪んだ笑みが、視界を掠める。 毎夜繰り返される、「行為」
「コト」にも「行為」にも、慣れることを、求められていた。
そして、考えることをやめた。 何も、考えられなかった。 必要なのは、抜け殻だった。
***
切れなくなった刃物を前に、考える。
「これで、よかったんだ」と。
いまだ瞳は空を映すけれど。 濡れた手は、刃を求めるけれど。 突き動かされることは、もうない。
微かに、笑みを浮かべて、呟いた。
「もう、違うんだ」
と。
2003年09月09日(火)
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