空虚。
しずく。



 想い出ぽろぽろ。

私の記憶はすぐに色褪せるもの。
大切なことも、塗り潰されたように消えていく。
嫌な想いも、良い想いも、
あとに残るのは、感覚だけだった。
どうして身体が強張るのか。
どうして優しい気持ちになれるのか。
いつも、必死に記憶を手繰り寄せてた。

でも、音楽を聴くと、少しだけ思い出せる。
曲の中に、そのとき感じた想いが残ってる。

これは、あの時の曲。
そのとき私は何をして、
何を想って、この曲を聴いていたのか。

鮮明ではないけれど、想い出せる。

楽しくなる曲、
泣きたくなる曲、
辛い曲、

どれもに、想いが詰まっている。

鮮明な記憶としてとどめられなくても。
忘れられない、感覚としてのこっている。
きらいも、すきも。
それだけで、少し、ほっとした。

2003年09月11日(木)
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