空虚。
しずく。



 ―おちる。

少しだけ、狂ったことを書かせてね。

苦しいの。
湧き上がってくるの。
また、あれが…
何度も夢に見る。
幻覚であらわれる。
目眩がする。
この手がまた、変わる。

「犯さないで」
と、叫んだあの頃が見える。
ああ、それも過去のこと…

しなきゃ、しなきゃ…
やめろ、うるさい、嫌だ。
反する言葉が口から飛び出る。

泣きながら、
死ねば楽になる。
と、
殺されない空間で、
手首を切ったけれど。
死ねるはずもなく。

また、生かされる。

あの瞳で、見るな。

助けて。助けてよ。
苦しい…
どうして他は殺せるのに、
私は殺せないんだよぉ…

死なせてよ、殺せよ!

「…いやだ…」
抱きしめた身体が震える。
『くるな』
と、唱え続ける。

いつものだ、いつもの…

血を探して這いずる手を布団に押し込めて、眠る。

夢の中で、好きなだけ殺せよ…
私の大好きな、紅の中で。

落ち着かない。
落ち着かないよ…

手が、欲しがってる。
身体が痙攣し始めてる…

触れたくなかったのに。

大丈夫、刃物は遠ざけた。
鈍ったメスじゃ、切れない。

したい、
やりたい。
切らせろ。

誰だ、これ…

まともじゃねえよ、これ…

2003年10月08日(水)
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