空虚。
しずく。



 おぞけ。

いつものことだ、とわかっている。
ただ、それが月と重なったから、いつもより強い。
ただ、それだけのことだ。

傷つけたい。
泣き叫ぶ顔が見たい。
哀願する声が聞きたい。
怯える視線を、自分に向けて欲しい。
「どう」すれば君は「そう」なってくれる?

熱い身体を抱きしめながら、考えていた。
もっと喘いで欲しい。もっと求めて欲しい。
何も考えないで。僕だけを見て。
…それが出来ないなら、君を殺したい。

一時の昂ぶりだ、とわかっている。
ひどく冷めた瞳をした事に君はきっと気付いて、
知らないフリをしていた。

君は僕を受け入れるから、
僕は君を殺せなくなってしまう。
そう、わかっていて投げ出すのだろうか。

だから、対象が別に向く。
誰かが言っていた。
「本当に殺したい人間が殺せないから」
「別の人間を殺すんだ」
と。

ああ、あたってるな、それは。
何故なら、彼女は私のものにならないから。

気が済むまで傷つけられてよ。
もっと残酷にならせてよ。
そんな瞳をして、私を見ないで。
ただ、怯えて。泣いて、叫んで。

誰が、私を「こう」してしまったのだろう。
痛みが欲しい。
狂うほどの痛みが。
もっと、強い刺激が。
解放して…今は、抑えられないから。

「素直になんか、なりたくないよ」
「…傷つけたく、ないんだ。だって私が痛いもの」

2004年06月06日(日)
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