空虚。
しずく。



 永遠。

僕らは、きっとわかっている。
来る別離を。その意味を。その先を。
そして、気付かないふりをしている。
今だけは、虚構を現実だと信じていたいのだと。
夢はすぐに覚める。けれどまた、夢を見る。
そう繰り返して、「私」は生きようと誓った。
涙が出るほどに情けなく、罪深い生涯を、独りで。

何かを、返して欲しいとは思わなかった。
綺麗ではないけれど、汚れてはいない、と。
信じていた。
すべては、信じられなかったけれど。
特別だ、と思えるぐらいには、信じていた。
きっとそれは、他の人間には抱けない感情だろう。
この先、何が起こっても。
だから僕は、彼女しか愛せないのだ。
誰も、耐えられない。僕は狂っているのだから。
心の底から僕を愛せるのはきっと僕だけだろうけれど。
彼女は、それ、すらも受け入れてくれる。
…それもまた、おかしな話なのだ。考えてみれば。
だから、僕はこう結論付ける。
僕らは互いに狂っている。
と。

常人と違うのだ、と優越感に浸ることすら、もう出来ない。
僕は、「普通」が欲しかっただけだ。
おかしいのは、彼女を愛する事だけでよかった。
それは、僕の中ではちっともおかしなことじゃないけれど。

案外不思議なもので、そんな自分を肯定してみたら、
そんなに、悪くない、感じがした。
否定し続けていたあの頃よりは、よっぽど。
だから僕はこれが普通なのだと考えている。
僕にとっての普通。それがおかしかろうが、どうでもいい。
僕は僕が僕として生きられればそれでいい。
関わってくる人間は僕の中には入らない。
それを過去の傷と結びつけてトラウマにするのは簡単だけれど。
弱い自分をつくってみても、何も起こりはしない。
ただ、鬱になる時間が増えるだけだ。それは、面白くない。
過去は過去として、傷は傷としてずっと残る。
たまには鬱にだって沈もう。腕だって切ろう。
それでいいじゃないか。だって生きているのだから。

2004年06月12日(土)
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