空虚。
しずく。



 Dear modestman。

涙は、出し方を考えて零すものじゃないよ。


少しの遠出を終えて帰って来てから、どこか変だ。
落ち着かないのはいつもの事だけれど、何故か、気にかかる。
何も見てやしないのに、何かを見てしまったかのように飛び起きる。
全身に一気に鳥肌がたって、肩で息をしてしまう。

無意識に浮かべてしまうのはやはり自嘲で。
一体私は何に怯え、何を嘲っているのか、考えてしまう。

『自分に向き合ったところで、答えが出るの?』
出せるならば、いくらでも向かえばいい。
でも、「そのこと」はもう考えないでおこう、と思ったんじゃないのか?

あれはまだ私を苦しめる。これからもずっと苦しめる。
消してしまいたいと願ったって決して消えるものじゃない。
その度に激情や憎悪は揺り動かされて、
でも決して触れる事の出来ないそれにまた、苛立ちを募らせる。
なんて不毛なんだ。なんて愚かなんだ。馬鹿じゃないのか、私は。

『今更、何を言いたいんだ…』
「あんたは私に、何を望んでいるんだ」
それを何度繰り返したって、何も届かない。
わかっているのに、また繰り返してしまう。

望むのは勝手だ。叶わなかろうと、わかっていても。
ずっと望んで、待って、永遠に来ない「いつか」を思っていればいい。

…でも、言い聞かせた甲斐があった。
もう怖くない。何も見ないで、壊れずにすむと。
あなたのキスで、よくわかった。

2005年08月26日(金)
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