2003年07月19日(土) |
星組 『王家に捧ぐ歌』 |
新生星組お披露目公演。 オペラ『アイーダ』・・・この星組で? ???と?マーク飛びまくりでこの日を迎えた。
初見なので、あまりよくわからない。 そしてやはり、大量退団のあとだったので、 個人的に少し平静ではいられない観劇だった。 (新トップコンビ、組替メンバーに悪意敵意は全くなし。 あえていうなら、“ようこそ。”という気持ち。)
ストーリーは・・・『鳳凰伝』より、残酷で悲劇的。 『鳳凰伝』は全体的に暗く、どんよりしていたけど 最後が超ハッピーエンドだったので、救われた。 でも今回は舞台が古代エジプトなので、煌びやか・・・ 『エルドラード』や『黄金のファラオ』もビックリの煌びやかさ。 エジプト兵も目が覚めるほどの白い衣装なので鮮やか。
ただ、ストーリーに救いというか、ホッとする部分がなく、 「あららー。」という気分になってしまった。 ラストはいわゆる『エリザ』でいうなら、トートとシシィ。 『うたかた』でいうなら、ルドルフとマリー。 本人達はあの世でハッピーエンド・・・というパターン。
登場人物はとても限られていて少ないように思えた。
思いついた順番に・・・(役名は定かじゃない) 汐美ちゃん・・・ 1幕、2幕とも幕開き登場なので重要かつ、おいしい。 「こういう芝居できる人なんやよなぁ・・・。」ってしみじみ思い、 トウコとの同期コンビの並びにただ単純に喜べた。 雪組時代の汐美ちゃんが大好きだったので、ヨケイに・・・。 芝居巧者・・・というよりは・・・役者・・・という感じ。 妹であるアイーダの罪に言い責めるところなどは迫真。
うん太&すずみん セリフはあまりなく、汐美ちゃんと3人で出てきては、歌ったり、踊ったり。 うん太もこういう影のある役は似合うので、適役だったのでは? すずみんは黒塗りがとてもよく似合い・・・というか、 違和感なくキレイにメイクしていたのが印象的。 時折見せる目の鋭さにドキリ・・・とする。
しいちゃん・・・ 汐美ちゃんと同じく「ようこそ、星組へ。」 最初の登場のシーンでのオーラに驚く。 「な、なに?あれ・・・。」というくらい。 歌もすごくしっかりとしていて、うまく、芝居もできる人なので 見ていてとても安心できた。 もう研11だもんねぇ・・・。 雪組育ちの確実な芝居が楽しみだわ。
レオン・・・ 今回学年的にはおいしい役。 大きいので存在感と安定感がある。 しいちゃんといつも一緒なので、ちょっとそりゃ、気の毒だったけど 歌もうまくなっていたし、セリフもうわずったりすることもなかった。
専科の方々・・・ チャルさんはすごいわ、ホントすごい。 歌いまくり・・・って感じ。うまいのなんの・・・さすがですわ。 ただいるだけで存在感がある・・・ってさすがだなぁ・・・って思った。 ・・・ただ、ナターシャブランコで出てきた時はびっくりした。 ヒロさん・・・この人もコワイ。 エジプトの捕虜となったあと、ラダメスのおかげで命拾いした時の顔が怖かった。 まんま・・・企んだ顔だけど、オソロシかった。 アイーダに「ラダメスを利用しろ。」と言い寄るところも・・・。
そしてアイーダ。 男役の安蘭けいが好きやのに・・・。 そう思っていたけれどもそんなことどうでもよくなってしまった。 さすがトウコ・・・さすがやわ・・・ほんま・・・そればっかり。 歌もセリフの声も無理なく、うまさも半減することもなく・・・。 ワタルラダメスに抱きつき、首に細い両腕を絡ませるところなんて、 ホント・・・見ているだけでドキドキした。 トウコ・・・泣きっぱなし。涙でメイクが・・・。 時々セリフに力が入ると“アイーダ”から“安蘭けい”になってしまう。 でもそれも一瞬のこと。 なんてホソッコイんだろう。なんていじらしいんだろう。 なんてせつないんだろう・・・・・・。トウコブラボーっ!!!
アムネリス・・・だんちゃん。 キレイ。こんなに美しい人がいていいのか・・・っていうくらい美しい。 エジプトのファラオの娘らしく、凛とした美しさ。 豪奢な衣装も嫌味なく、すっと着こなしていた。 ファラオの娘ゆえの気の強さ、傲慢さ、なども無理なく、嫌味なく、 ここまでできる人は少ない。 その傲慢さの裏にラダメスへの想いとアイーダへの嫉妬心が垣間見えて プライドを捨てることができない哀しさ、 自分の心へ素直になれるアイーダへのうらやましさ、 そんな心の葛藤があふれ出ていた。 やっぱり、だんちゃん、ウマイよ。 多くの人が「イケてない」」という歌も迫力があった。 私はイケてないとは思わないな。 「私がファラオになります。」と言い切る強さ。 「私に助けを求めなさい。」とラダメスに訴えるせつなさ。 「石牢を閉じなさい。」と自分の心に言い聞かせる哀しさ。 ラダメスとアイーダが石牢で再会し、一緒に死んでいくとは知らずに エジプトの平和を誓う・・・雄雄しさ。 ヒトツヒトツが鮮明だった。 すごいわ、だんちゃん。
そしてワタル氏・・・ラダメス。 エジプト衣装がよく似合うね。 将軍に選ばれた時の喜びの顔は正直な気持ちだね。 アイーダを見つめる眼差しが・・・優しすぎてせつない。 なんだろう?なんだろう? いつの間にこんな貫禄ついたんだろう??? 石牢に閉じ込められた時の静かな芝居が強烈に残っている。
主な登場人物はホントにこれくらいで、 他の娘役たち、男役たちは常にエジプト兵、エチオピア兵だった。 娘役ちゃんたちがエジプト兵になってワラワラワラと出てくるところは なんともおかしかった。
そうそう、最初のシーンでエジプト兵が手に手に槍を持っていたのだが 妹はそれが・・・洗濯の・・・物干し竿に見えたらしい。 私はファラオをあおぐ大きな羽根の扇が・・・机や棚をふく静電気モップに見えた。
全体的には戦いのあとのシーンが残酷だった。 最初にエチオピア兵がヤラれた時は舞台上に・・・横たわる・・・ではなく、 討たれて倒れた・・・まんまのエチオピア兵たちが・・・ とても不自然な格好のまま、目をむいて倒れていて・・・見ていて、恐ろしかった。 「いや、きっと戦場ってこういう光景なんだろうけど、 こりゃ、やりすぎやわ。」と思った。 ・・・のも束の間、今度は奇襲攻撃をかけたエチオピアがエジプトの反撃を受けて、 壊滅した町・・・でも槍や剣が刺さったまま倒れている・・・と言った感じで これもまた恐ろしかった。
「・・・また夏休みや・・・っていうのに。子供たちも見るっていうのに・・・。 去年の『鳳凰伝』に引き続き、寒い夏休みやな。」って思った。 何も夏休みにせんでもエエのに・・・このご時世に。
そう思わせるほど恐ろしく、コワかったのは、 兵士役の死に方がウマイからだろう・・・とも思えた。 昔から星組は“死に方”がうまかった・・・。
そんなこんなを思いながら、フィナーレ。 エジプトを舞台にした作品なのだから、衣装や歌もそれなりに・・・して欲しかった。 汐美ちゃん率いる男役たちが黄色のやわらかスーツで出てきたのにはビックリした。
そのあとの衣装は・・・一応それっぽかったけど、歌が・・・。 せっかく歌のウマイトウコが歌うのに、なんや?その歌。 もっと聞き応えのある歌にしてくれ――――っ!!!
ラスト・・・グランドフィナーレではっとした。 「あぁ・・・新生星組なんや。」
***
余談だけど、この公演、花組のトップコンビ:マサちゃんとふーちゃんが見に来ていた。 客席・・・あちこちでどよめき、幕間などは行く先々で携帯を向けられ、 カメラを向けられ・・・気の毒だった。 2幕の始めなんて、客席についた2人に向けられたあまりのカメラに マサちゃんは下を向いてしまった。 一挙一動・・・見逃されず、ちょっとしたことに笑いが出たり・・・どよめいたり。 これはあまりにもヒドイ。 カメラを向けられるのもどうかと思うけど、カメラ付き携帯はもっといけない。 撮るほうは必死だけど、撮られるほうはかなりいやだと思う。 それを見ている側もまた不愉快だった。 「不躾失礼やよねぇ。」そんな感じだった。 しかも2幕が始まったというのに 撮ったばかりの写真を携帯で確認して待受け画面にしている人が・・・ 私の横にいた・・・・・・。 そして「○○さんにメールで送ろう。」とか言っている。 「そんなことはあとでせいっ!!!」 そんな気分だった。
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