2009年08月06日(木) |
薔薇の、マリリン・モンローを思いっきり切り詰めて二週間。 新芽がわらわらと現れだした。今、萌黄色の葉がさわさわと風に揺れている。 思い切って切り詰めてみてよかったのだな、とほっとする。
薔薇だけじゃない、人にもそれはいえる。 時に、思い切って削ぎ落とすことが必要なことがある。 これでもかというほど削ぎ落とした先に、花開くものがあったりする。
削ぎ落とすときは痛い。痛くないわけがない。本当なら削ぎ落としたくなんてないものばかりだったりするのだから、たいていの場合。しかし。 それを痛みとともに引き剥がし、削ぎ落として、ようやく、見えてくるものがあるのだ。 不思議と。
最近、悪夢とまではいかない、中途半端な夢を見る。 昨日は、過去深く交わった人が夢に何度も出てきた。苦い味が口いっぱいにひろがり、それで目が覚めた。真夜中。 懐かしいとか、本来なら、そういう言葉で表現されるべき対象の人なのかもしれない。 でも、今の私には、苦い。 どんな過去の人も、今は苦い。 過去だから。もう変えようがないから。 懐かしめるほど、私はまだ年をとっていなくて、そのときの、途切れてしまうしかなかった縁の苦い味ばかりが思い出されるから。 忘れることは、できない。 だから、思い出したくない。 今は。
いろいろな人との縁があった。 一方的に断ち切られた縁のいくつかも、まだこの私の手の中に残っている。 私はこれを何処まで持ち続けていくのだろう。 分からない。 でも。 一方的に消えた命たちの、あの散り散りに飛び散った血飛沫の、有様を私は覚えていて、だから、私は私から緒を手放すことができない。 もしかしたら、一生抱いていくのかもしれない。それは重いのか? いや、重くはない。 ただ切ないだけで。 でも、そのせつなさくらいなら、私はもう、耐えられるくらいになっている。 だから、多分、持ち続けるのだろう、この先も。 命につながる緒を。この縁を。その先がもはや切れて風に飛ばされているだけだったとしても。
海から風が流れてくる。 曇り空の下、風は街中に広がり。 私の髪を揺らし、薔薇の枝を揺らし、 さぁ、もっともっと、広がれ、風よ。 天まで、届け。 |
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