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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2008年09月12日(金)
君が聴いているだけで哀しい歌なんかじゃなくなる。


想像通りと言いたいところだけど結構裏切られました魔王。どうせこれを打っているのは日付の一週間後といういつも通りのすたれ日記具合ですが一応ネタバレ風味なので御了承下さいませ。

取り敢えずいの一番にいう事でもないんですが、不倫組が纏めて成敗されてしまったのが。悲しいような、そんな感じ。
おにいたまも葛西もすきだったので。でも正直その辺の展開は読み易く、身体検査しろよとか(兄)まだ危険人物いまっせとか(葛西)ありがちなツッコミしか生まれなかったんですが、あれかな、元が韓国だからかな、不倫も死罪って重たいですね。
いや悪い事に重いも軽いも無いとかそれは嘘っぱちですが、何なら見逃し何ならいけないと、その線引きは教育や宗教で大きく変わって、日本だってそりゃ責めを受けますが、特にあちらのお国柄は何処となく、恥知らずとして二度と表を出歩けない気がするのです。
少なくとも、幾ら愛する人が己を選んでくれ、保釈=逢ってもいいと言っても、笑いながら指輪とか買っちゃう駄目な子は、まぁまさに成敗だよね。ちょっとその辺のオバカ描写に一日の恋は冷めたようです。百年じゃないから冷めてもいいんだって。
ところで冷めたとは言えすきだった葛西と二大主演の内好みな役の方を殺した彼は、だからオタクこわいたきもとか言われちゃうんだよぷんぷん!

個人的に大野君の表情は、えも言われぬ色気のある時と能面のように取れる時があるんですが、逆に生田君は常に表情も目まぐるしく愛嬌に転じる哀れっぷりでしたが、あんまり突出したイメージもなく。
平均値の人間と振り幅のある人間が一緒にいると、其々の相違点が見易く両方の味を楽しめる反面、どちらかにのめり込み過ぎるとどちらかを毛嫌いしそうですね。
で、その二人が号泣しながらくんずほぐれつ(なんか違う)している場面では息もつけないシーンの筈なのに大爆笑とかしてしまう自分は最低なんだと思います。人としての軸が崩壊しているようです。
散々CMなどで騒ぎ立てられていた、衝撃の17分! 遂に明かされる真実! とかに腹が立ったので(駄目な反骨精神)何があっても騙されないべその為に予行演習欠かさないべとか努力はしたんですよ。
その推理では、大野こと領の最終目的が己の死なのだとは思っていましたが、生田こと直人の手によって、よりももっと具体的に、英雄が亡くなった時とほぼ同じ状況で以て死にたいのかなとか考えていました。
まぁ結果的にはそれは忠実にドラマで再現されている訳ですが、どちらかは死ぬんだろうと思っていたけれどその代わり、どちらかは生きているのだと思っていたから。直人が死んで領が生きるパターンもあるだろうと思いつつも、二人してバタンキューは、盲点だった。まだまだ甘いな。

そこここの感想を眺めていると、領は直人をもう許していたけれど、己を許す事が出来なかったが為に、直人を死なせてしまう結末になったのだ、と。成る程。
更に、直人は死ぬ時点で、領も致命傷を負っているとは知らなかったものだから、きっとこれからは自身の為に生きてくれと、領に願いながら息を引き取ったのだと思うと、切なくはなります。
その言葉に励まされるというよりは十字架の一種として背負わなければならない領にも最早齎されるには遅過ぎた選択肢だけど、しかしこの形になったからこそ、始めて選択肢足り得た気がする。作中の遺言状と書いてラブレター(いや過ぎる)でも、何度と無くしおりと新たな人生を生きる事を夢見たと語りながらも、先の通り己の所業を許せない領にとっては考えられない夢物語であり、一つの贖罪の形として直人が命を賭して提示して始めて、その道にいけた気がする。
でもまぁ物語というものが与える影響という観点からも連続殺人の幕を開いた領が幸せになるという結末はどうなんだと煩い道徳団体が糾弾するのでしょうし、例えしおりと離れ一人孤独にそれを不幸だと説いても直人が死んでお前が生きるのかと問題視されるのでしょうし、かと言って事故や正当防衛とは言え今回の原因そのものである直人が生きていたらありがちな正義は勝つだなんて扱き下ろされてしまいそうだから、共倒れってのがある意味一番正しかったのかな。
うわ最後に台無しにしたよこいつ。まぁ、見始めた時より面白いと思え納得出来る結末だったので個人的には万々歳です。ただ販促演出は自重しる!


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