愛より淡く
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2001年12月17日(月) 産婦人科の一人娘だった友だちのこと

花も身もある十代のころ

私にも心に思う相手はいたけど

一応心が通じあっていると思ってもいたけど

その相手との関係は

なかなか思い通りに展開してくれなかった。

以前もここの日記にチョコっと書いたとも思うけれど。
その相手とは、中学時代の同級生で高校もいっしょになるはず
だったのに、ちょっとした手違いから、別々になってしまった。

よく考えれば私はその頃から絶えず欲求不満状態だったのかも。

自分のウチなる欲求をひたすら抑圧してきてしまった。

そのせいで、どこかが、いびつに歪んでしまったようにも思う。


当時私のまわりにもボーイフレンドたちと
「大人のつきあい」をしている女の子たちが何人かいたけど。

そういう女の子たちは、私にとって別世界の人たちでもあった。

やっぱ高校生なんやから節度を守ったつきあい
をせなあかんと思うわ!

なんて頭ガチガチに考えているところが私にはあった。

それでもどこかでうらやましいと思っているところもあって

心の中はいろいろと複雑だった。


高校2年の時同じクラスで
仲良くなった女の子は、産婦人科の病院のひとり娘だった。

彼女は中学までは地元で有名なお嬢様学校の中等部にいたけど
男女共学にあこがれて、公立高校を志願したということだった。


彼女から女子校の実態とか産婦人科の実態とか
いろいろ教えてもらった。

私は、彼女の話を聞きながら

うっそーーすごーーひえーー

と、いつも目をまんまるくさせていた。


彼女んちの産婦人科の主な収入源が堕胎の手術料だと
いうことも知った。

彼女んちの病院の冷蔵庫には、処置した胎児が入っているビニール袋が
大量に保管されているということも知った。

「えげつない眺めやけど、慣れるとまあ
どうってことないけどさ、知らんと開けたら
まあビビルやろなあ」

と、彼女は実に淡々とした口調で話して聞かせてくれた。

強烈に印象に残っている。

光景を想像するとめちゃめちゃグロテスクで気分が悪くなった。

彼女の病院には
避妊に失敗した女子高生とか女子大生とか
がひんぱんにやって来ていたということだった。

「あきれるで〜
避妊もせんとやることやってからに、いい加減もいいとこ。
もっとしっかりせんとあかんがな。って、言いたなるで、
まあウチとこは儲かっていいけどさあ」

とあっけらかんと話してくれた。


彼女の話はいつも私のキャパシティをはるかに越えてしまっていた。

当時の私にはやはりついていけない世界だった。

とてもではないけれど把握しきれなかった。

それにしても

冷蔵庫の中の

ビニール袋の数だけ

この世に生まれることのなかった生命が存在するのだと思うと

なんだかとてつもなく恐ろしくなった。

その一個一個はもしかしたら無限の可能性を秘めているのかもしれないのに。


そんなふうに考えるともう収拾がつかなくなるほど混乱してしまった。



さすが産婦人科の一人娘だっただけに
彼女の知識は信じられないくらい豊富だった。

知識はあるけど経験は皆無だった。

いわゆる耳年増ってやつだろうか?

彼女本人は同じクラブの男の子に片思いとかしていて

その子の話をするときは、ちょっと赤くなったりして
別人みたいになってしまって

めちゃめちゃシャイで愛らしかった。

今ごろどうしているのかなあ?

高校卒業後いつのまにか疎遠になってしまった。

当時の彼女が話していたように
お医者さんのお婿さんをもらって病院を継いでいるのかもしれない。


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