愛より淡く
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2002年05月07日(火) |
ドキュメント 母子の長い一日 その1 |
とにかくみんな心配して待っていた。
夫のお母さんなどは、
もしかして○○山の底無し沼に落っこちでもしたのでは?
などとよからぬことを考えておろおろされていた。
3月の火事で相当のダメージを受けられているのに、
余計な心配かけてしまったかしら?もう少し黙っていた方がよかったかしら?
とあわてて知らせてしまったことを後悔した。
「父ちゃんは生きてるよね?生きてるよね?」
涙を流しながら心配そうに尋ねる二男。
「大丈夫や。」
と、私。
「でもなにかあったことは確かだよね?父ちゃんまだ帰ってこないし
きっと帰れなくっているんだ。殺されちゃったのかな?」
と二男。
なんだかこの子って発想が突飛すぎやしないか? サスペンスドラマの見すぎか?
などとぼんやり思っていた。
そんな中
「じゃあボクは遊びに行ってくるね」という
まわりの空気を全然読めない長男の発言に
「あ、あんたなにのんきなこと言うてんのん。 お父さんが生きてるか死んでるかもわからへんこんなたいへんな時に、 よーそんな悠長なことできるなあ、状況見てもの言いいよし!!」
と思わず声を荒立ててしまった。
「そうだ。そうだ。兄ちゃんはなんて奴なんだ」
わーわー泣きながら兄を責める二男だった。
長男は悪い子じゃないけど、冷淡で我関せずのところがある子だ。 しかし人間以外の動物には信じられないくらい優しいところがある。特に 昆虫に。我が子ながら謎の多い子供だ。
で、長男はしぶしぶ遊びに行くのをあきらめた。
それからみんな黙りこんでしまって しばらく重苦しい雰囲気が続いた。
ついに長男が沈黙を破ってつぶやいた。
「なんだか面白くないなあ」
またか!この子は
「あんたねえ。面白ないってなんてこというのん!! お父さんがたいへんなことになってるのに、お、おもしろないって よ、よう言うわ」
カチンと来て興奮する私。
「そうだ。そうだ。兄ちゃんは・・・」
相変わらず泣いている二男。
とにかく何が起こっても取り乱さない覚悟だけはしておこうと思った。
時間が過ぎれば過ぎて行くほど、
なんともいえない絶望的な気持ちになっていった。
そうこうしているうちに、二男が叫んだ
「あ、父ちゃん、帰ってきた!!」
ありがとうございましたゥ
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