愛より淡く
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2003年05月11日(日) 夜のお友だち

ぱっとしないレストランに夫と向かい合って座っていた。

店においてあったテレビから金曜のゴールデンタイムに放送されている「奥さんピンチです!」の番組予告放送が流れていた。

次週のゲストは、あのカダルカナルタカ夫人の橋本志穂さんで、次週相当大変な目に遭われるということが、司会の古館一郎氏の絶叫から知ることができた。

「さあ、志穂さん、大変です!!いったいどうやってこのピンチを乗り越えることができるのでしょうかああああああああ」

番組予告は、そこで終わっていた。


「ガダルカナルタカ、助けに行くのかな?」

と夫が抑揚のない声でボソッと言った。

「さあわからへん、私、金曜いつも仕事やし、見られへんわ」

と言いながら、心の中で、「見たい、見たい、すっごく見たい」

と思っていた。


店の人が、大量の甘栗を剥いて、皿に盛っていた。


その光景を見て私は無性に甘栗が食べたくなっていた。でも言い出せなかった。

「甘栗食べたいんやけど、注文してもええ?」

と、その一言が言い出せずにいた。


「ごめん、今日は先に寝るわ」

夫が突然そう言った。見ると夫の皿の上には甘栗が3個乗っていた。


うっそーーいつのまに?


「そんなことわざわざ言わんでもええのに、いつも先に寝てるやん」

と私は悲しい顔をした。


「ひとりで夜を過ごすのがさみしいわあ、せや、夜のお友だちでも募集しようかな?」


と、突然思いついたように悲しい顔をしながら、言った。


夫は顔色ひとつ変えずに、甘栗をひとつ、口に入れた。


「欲しいわあ。夜のお友だち。夜のお友だち。ねえ、いいでしょう?
夜のお友だち作っても」


夫は顔色ひとつ変えずに


「ガダルカナルタカ、助けに行くのかな?」


と言った。



ああ、ああ、ああ、だめだ、言えない。もうこれ以上はどうしても。



と、モヤモヤしている私だった。



「あんたの甘栗ひとつもらってもええ?」


その一言が言い出せずにモヤモヤし続けている私だった。




はっとそこで目が覚めた。やばい寝過ごした?と慌てて起き出して、階段を下りたら、


夫も下で、「遅刻だ、寝過ごした」と騒いでいた。



それにしても、






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