愛より淡く
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S係長は、自他共に認める愛妻家だった。そのうえ子煩悩だった。
社内リクレーションには、毎回家族で参加されて、周囲にアットホームな雰囲気を振りまかれていらしたそうだ。
係長には、よく顧客のクレーム処理やクロージングに同行してもらった。
ごくごく自然に親しくなって、冗談なんかも交えてなんでも気安く話せる間柄になっていった。
そんなある日、係長と私が、顧客先を訪問後お茶でも飲んで行こうかということになり、最寄の喫茶店に入った時のこと。
そこで、私は、係長の意外な秘密を知ってしまうことになった。
どういういきさつで、そういう話題になってしまったのかは、さっぱり思い出せないけれど。
な、なんと、愛妻家の係長には、定期的に密会している女性がいたのだった。(その時は、もうお別れされていたそうだけど。)
「か、係長は、愛妻家と違はったんですか?」
「せや、俺はものすごい愛妻家よ、家族サービス精神満点パパよ」
と係長は臆することなくニコニコしながら私の問いかけにそう答えたはった。
なんとなく矛盾しているように思えた当時の私だったけれど
係長が言わはるのには、彼女は快楽の世界を追求するために、どうしても必要な相手だった。ということだった。
「嫁さんとでは追求に限界があるんや」
とも言うたはった。????????
未知の世界のことでもあり、他人事でもあったので、ふうん、そんなもんなんですかあ、ようわかりませんわ、と適当に受け流していた。
係長は、コーヒーをテーブルに置いて、一呼吸おいてから、
ご遠慮させていただきます。と笑って答えた。
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ありがとうございましたゥ
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