愛より淡く
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川上弘美さんの短編集「ざらざら」の中の
「山羊のいる草原」の一節を思い出す。
「中林さん、と口に出して言ってみたが、何も感じなかった。
じゃあ、あたし、中林さんのこと、もう好きじゃないんだ。
中略
中林さんが、かわいそう、とあたしは思ったのだ。
あんなに好かれていたのに。もう、ひとかけらも好かれていない。ひとかけらも嫌われていない。
なんの感情も、あたしにいだかれていないんだ」
という記述が、印象的だった。
ふっきれた後のむなしさのようなものかしら?
お祭りの翌朝の気持ちと似ているかも。全然違うかも。
かつてあれほど好きだったのに、そういう感情がひとかけらも残っていない人に対して「かわいそう」って、思ってしまう気持ち
なんとなくわかる。
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