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嫌いな食べ物「キュウリ」


2002年06月02日(日) 哀し過ぎると涙は出ないらしい

 寝不足です。軽い不眠症でしょう。そして予定ぎっしりの所為だ。撮影の所為だ。撮影め…。貫徹で撮影なんてするんですよ全く如何思います其処の人!(画面に向かって指差し戦慄く



 本当に殺してしまえれば良いと思った。私には如何することも出来ない問題を、私が共有していることに気付いた。私は他人の過去を変えることは出来ないけれども、愛の行為を行うだけで他人の過去に触れる。あの人は私の指に悶えながら一瞬相手が私であることを忘れる。過去の衝撃的な恐れが、私の単純な愛撫の色を下から消してしまう。

 怖い、だなんて。

 別段性欲が強いわけでは無い。別段其れが目的なのでは無い。けれど私の行為に誠意ある対応は必要な筈だった、愛の行為の中には。愛する人の過去の人が、私の今の心を踏み躙って止まない。
 絶頂に達するのが怖いだなんて、私の指を引き抜くなんて。幾ら貴方が今私のことを愛していても、幾ら貴方が今私だけを望んでいても、其れに応えてしまうと貴方の中に思い出されるのは恐怖と絶頂の瞬間だけ。
 その人は貴方を怯えさせながら如何やって絶頂を迎えさせたのだろうか。絶頂と恐怖を両立させながら、如何やって果てさせたのだろうか。彼女の私に対する愛よりも、私の彼女に対する愛よりも、強い恐怖と記憶を、如何やって彼女の心に残したのだろうか。如何して私は其れを超えられないのだろうか。如何して私は何も出来ないのだろうか。謝るのは貴方では無い。私でもない。私は唯哀しいだけだった。何も出来ない。出来なかった。

 思い出さないようにする為には触れてはいけない。手を、伸ばしてはいけない。何も、してはいけない。

 思い出したいが為に私に求めるのでは無いと其れは知っている。けれども私は貴方の記憶の構造を知ってしまった。


 緩やかに貴方とこれからセックス出来るだろうか。


 自信が無い。






 だからもう、私の為に爪を切らなくて良い。












 貴方と裸でベッドに寝る勇気が無い。


さくま