キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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| 2005年02月03日(木) |
珈琲と煙草の匂いがした朝。 |
届いた荷物のなかからインスタントコーヒーを取り出して 封を開けた。
苦い香りで最初に思い出したのは父親だったけど。 そのあとすぐ思い出したのは、いつも珈琲とタバコの匂いに包まれていたある男の人だった。 彼は高校の時の恩師でした。 タバコが止められない、ブラックコーヒーばかり飲んでいる先生でした。
私は彼が大好きでした。 恋愛とは呼べない程の、犯罪的な年の差だったから
「もっと早く生まれて会いたかった」
とか、かなり意味の無いことを考えていたけれど。
言ったら本当に馬鹿だったから知ってる人は少ないけれど あぁ私本当に先生が大好きだったんだなぁと思う。 彼の為に毎日数学を勉強した。 教えてもらいたくて数学を勉強した。 朝早くから生徒の為に学校に来てくれる彼にとても会いたかった。 そこらへんにありふれている話。教師と生徒。
本当に好きだったから 私は彼にバレンタインデーにチョコもあげることもできなかったし 卒業式に一緒に写真をとることもできなかった。 普通逆なのに。
高校を卒業して、その後の夏に高校に足を運んで会いに行ったとき 手作りのシフォンケーキを持っていった。
「3年間もよく数学がんばったなぁ」
と言ってくれたことがとても嬉しくて それだけが嘘じゃなければいいと願った。
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