こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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2004年09月15日(水) |
お伽話【流れ星を食べる怪物】 第二話 |
第二話
村のはずれにある、大きな山。
その山は、たくさんの木が茂り、 昼間でも光が射し込まず、 薄気味悪い雰囲気を漂わせていました。
村人の間では、 一度入ると二度と帰れないという噂があり、 誰も近づこうとしませんでした。
その山の奥にある洞穴に 人知れず怪物が住んでいました。
全身黒い毛に覆われ、 鋭い牙を持ち、 手足には大木すら切り倒す爪が生えていました。
今までその怪物が山から降りて、 人間に危害を加えるたことはありません。
ただひっそりと、 山の奥の洞穴で、静かに暮らしていました。
何かを待っているかのように・・・。
それはさておき、 村人たちはというと、
あの日以来、老人の言いつけを守り 毎晩空を眺め、 流れ星が来るのも待ちました。
しかし、 いざ流れ星が来ても、すぐに消えてしまい、 3回どころか1回願うこともままなりせん。
それでも、村人たちはあの老人を信じて、 村が助かるように、 毎晩、毎晩、流れ星を待ち続けました。
昼は痩せた畑を耕し、 夜はいつ流れるかわからない流れ星をじっと待ち続ける。
この繰り返しは、 ただでさえ 栄養不足になっている村人たちの体力を さらに奪っていきました。
死んでいく村人は益々増えるばかり。
ホトホト困り果てた村人たちは、 村長さんを中心にまた話し合いました。
村人E『このまんまじゃ、願いが叶う前にわしらが死んじまうさ〜』
村長『これは神様がわしらに与えた試練じゃ 神様信じて祈るしかないんじゃ』
すると村人の一人が、 また神社の方で空が黄金色に光っていることに気付きました。
村人F『ありゃ〜ぁ また神社の方が光ってるさ』
村長さんはじめ村人たちが神社へ行くと、 あの老人がまた光をつたって降りてきました。
村長さんたちは ひざまずき、その老人にお願いしました。
村人G『神様、流れ星の消えるのが早すぎて 3回願うことができないさ』
村人H『このままじゃ願いが叶う前に死んじまうさ』
村人たちの話を聞いた老人は答えました。
老人『村のはずれにある山に、大きな怪物が住んでいる。 その怪物が流れ星を食べてしまうため、 3回願う前に消えてしまうのじゃ 山の奥に住む怪物を退治すれば、きっと願いは叶うだろう。』
そう言うと老人は、 再び、光を放ちながら空に消えていきました。
〜つづく〜
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