こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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2004年08月31日(火) |
お伽話【流れ星を食べる怪物】 第一話 |
お伽話【流れ星を食べる怪物】
第一話
昔々あるところに、小さな村がありました。
村人たちは、いがみ合うこともなく、 平和に暮らしていましたが、 一つ、大きな問題を抱えていました。
その問題とは、 ここ数年、ひでりが続き、雨が降らないため、 農作物が育たず、 大飢饉に見舞われているのです。
当然、食べ物は少なく、 生まれて間もない赤ん坊が死んでしまうことも 珍しいことではありませんでした。
毎晩、村長さんはじめ村の若い衆が集まり相談しますが、 いっこうに良い方法は浮かびませんでした。
ある日、いつものように村長さんはじめ 村の若い衆が集まり相談していると、 一人の村人が、空が黄金色に光っていることに気付きました。
村人A『ありゃ〜ぁ 夜だというのに昼間のように光ってるさ』
村人B『どうしたぁ?ホントだぁ ありゃ神社の方ださ』
村長さんはじめ、村人が黄金色に光っている方へ行ってみると 神社の屋根から、 ひとすじの光が空に伸びていました。
村人たちが不思議そうに空を眺めていると、 その光をつたって 白い布を体にまとったヒゲの長い老人が、 村人たちのもとへ降りてきました。
身にまとった白い布は、眩しいくらいに光を放ち、 小鳥が肩で羽を休め、 ヒゲは顔を隠してしまうくらい長くて真っ白でした。
村人C『こりゃ〜神様に間違いないさぁ〜』
村人D『神様、お願いします。この村を、私たちを助けてください。』
一同『お願いします。』
村長さんはじめ村人は ひざまずき、その老人にお願いしました。
老人は、村長さんはじめ村人たちを見下ろしながら言いました。
老人『明日から毎晩、流れ星がこの村の空を流れる。 その流れ星に3回願うことができたとき、 そなたたちの願いはきっと叶うであろう。 ただし、流れ星は一晩に一度しか流れないから よ〜く見ておくんじゃぞう〜』
そう言うと老人は、 再び、光を放ちながら空に消えていきました。
〜つづく〜
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