私的正論。

2002年08月09日(金) ナガサキ。


爆心地の塔の前で見上げると、青い空だった。

不思議に思った。

ここに居た人らは何処へ消え、今ここにある人らは何処から来たのか。




全ての歴史が正しく何かを動かしていけないのは。
そこに居た人らが居なくなるからだ。

聞くべき声はいつでもそこにある。
いや、そこにしか無ェ。

けど。

みんな居なくなってしまった。








何もかもが強引に消される兵器。
その下に居るのはモノ思う人間。

思う心さえ消される兵器。

それどころか、やがて全ての証人を消してく兵器。

爆心地の塔の前に立っていると。
その時ここに居たのは決して自分じゃねーてのに。

居ても不思議は無く。
今居なくなってても不思議は無いような感覚に襲われる。

その感覚のために、場を踏むのは、大事なことだ。







そこに居た人らは全て消えてしまい。
そこに居た人らの「あの頃」を知る人らも。
みな去っていき。

結局のとこ「そこに居た人らにしかわからねーこと」が。
ますます消えていく。

けど。

ヒロシマにしろナガサキにしろ桜木は。

限りなく膨れ上がるに違いねー憎しみよりも、ただ真実を伝える義務に目を向け。
そこに心置き換え静かに語り続けた多くの人の、その。

静けさにうたれる。

憎しみは真実すら伝えねェ。
憎しみは。

真実を冒涜し猜疑心だけを再生産する。

生き残った全ての人が静けさの中で語り継ごうとした何かを。
今生きてる人間が、黙って受け取ること。


それが意味だ。









むごたらしく死んでいい人間なんざ一人も居ない。

それを知るからこそ平和を誓おうとする。

てめえだけが可愛い人間にゃわかんねーこと。



全ての人間の利害が一致するなんてあり得ねぇと思いながらも。
どこかでそれを信じた。

平和が来る日を信じた人らの総数。




それが意味だ。



ナガサキの夜の灯は、だからこそ胸に気高く映る。


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桜木



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