それはそれは暑い去年の夏のとある日、 おじいちゃんの30周忌があった。
私の知っているおじいさんは、 写真の中の白いマルチーズを抱きかかえる人。 その人はガンのため49歳で死んだという。 私が生まれる9年前のこと。
法事で訪れた墓地は、 静かで何にもない町にあり、 港を見下ろす小高い丘の上にありまして、 蝉が鳴いておりまして、 そのとき映画作りの手伝いをしたばかりだった私は、 これは映画で撮ったら絶対素敵だと思ったものでした。 それは少し南欧の景色のようにも見えました。
おばあちゃんは嬉しそうに墓参りして、 線香の香の中親戚一同とお墓を真ん中にして、 集合写真を撮りました。 それが終わってさあご飯食べようと、 みんなが丘を下りだし、 列の一番最後尾にいた私は、 ふとまだ後ろに誰かがいるような、 こちらを見送るような、 そんなその人の視線を感じながら歩きました。
9月になって便りが届きます。 遅ればせながら、と言って例の集合写真が送られてきたのです。 ちょっと期待しながら数枚の写真を見ましたが、 残念ながら心霊写真ではありませんでした。 ただよく似た一族の笑顔と、 なんだか暑そうで鬱蒼とした緑に囲まれた、 その人の墓があるのみでした。 果たしてその人は居たのか居なかったのか。
数年前まで墓の近くに住んでいた私は、 毎日金縛りに遭っていました。 非科学などと言うなかれ。 今病院街に囲まれて眠る私は、 1度だって金縛りに遭ってないのだから。
ミッション! 墓と霊を探れ!!
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