君が行く道のながてを繰りたたね焼きほろぼさむ天の火もがも
万葉集 3724 狭野弟上娘子
この歌、実に好きだ。 女の情念を感じる。 有名な歌だが、これは娘子が恋人の中臣宅守が流刑にされた際に歌ったものだ。 まぁー、所謂『許されざる恋』って奴ですね。 燃えるからね、そういうのってね。(知ってるような口振りだな) 何でまたこの歌を思い出したかと言えば、本日の古典の授業中に先生が言い出したからなんだな。 なんともタイムリーですが、現在古典にて『浅茅が宿』をやっております。 そうそう、雨月物語からの出典。ちょうど買ったばかりだわよ。すげぇ。
古典のM先生はこの歌を 「スケールが大きいですよね。凄い」と仰ったが、成程確かにスケールが壮大だ。 なかなか分かり易い歌だが、へっぽこ高校生が訳してみれば、こんな感じ↓。
『あなた(宅守)が流されて行ってしまう(流刑先までの)長い道程を手繰り寄せて、 焼き尽くしてしまえるような天上の火があったらいいのに……』
これを更に分かり易く意訳すると、このような感じ↓になるのか?
『あなたが流されてしまう長い道程を手繰り寄せて焼き尽くしてしまいたい。 そうすれば、あなたは行かなくて済むというのに』
……こりゃちょっと意訳しすぎかしら。 いや、まぁ、こんなもんで妥当なところでしょう。 しかしそれにしても凄い、この想い。 『焼きほろぼさむ』だよ、しかも『繰りたたね』るのよ。 何というか、表現力を超えてるなぁと思う。 技法的に『燃えるような恋』=『炎』だから、『焼きほろぼ』す、というのではなくて、 「とにかくあの人と離れたくない、そんなことになるくらいなら焼き尽くしてしまいたい」 っていうリアルな感情が生み出した表現のような気がする。 そんな恋が出来るのは、とても羨ましいことだ。 あたしは多分、そんなになりふり構わずのめり込めるタイプではないから。 失敗したくない自分が、何処かで必ず冷静に自分を見てて、ブレーキを握ってるんだろう。 自分で自分を冷静に見つめてる『視線』を感じるのは、結構痛い。大切なことなんだけど。
恋つながりですが、キンキさんの『LOVESICK』という曲の歌詞にもちょっと感動した。 『ちょうどいいLove Sick』 『狂おしすぎないせつなさ なんていいLove Sick』 (作詞:戸沢 暢子/作曲:Face 2 fAKE/編曲:Face 2 fAKE/『E album』JECN-0020収録) 恋煩いに対して『丁度良い』って言うのがまずびっくりだわね。 これ言い換えたら『程好い肩凝り』って言うのと同じだものね、言葉の上では。 でもなんか、丁度良い恋煩いって、片思いの感覚に似ているなぁと思った。 絶対に発展する可能性の無い片思いに嵌ってる時の気持ちは丁度こんな感じだろう。 ある種のナルシシズムにも似ているな……。
あぁっ、古典で思い出した、予習しなければ! 明日は選択古典の授業の日だったわ〜。『徒然草』だよ、はははは。 吉田兼好ばんざーい。(人格崩壊)
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