合唱祭があった。 遠くなのでみんなでバスで行った。
バス内で、 ゆ-ちゃんが深刻に悩んでいた。 それはゆ-ちゃんの彼氏のこと。 彼氏は性格が悪いらしいのだ。 「あいつは歌はうまいが、人間としては最悪だ」 「正直言って、おかしいでしょ。変態だ」 そういわれている。 しかもそれがあながち嘘ではないから、ゆ-ちゃんは困っていた。
「私は顔とかは本当にどうでもよくて、性格だけで人を好きになる人間。 だけど、じゃあ私はあの性格の悪い人のどこを好きになったんだろう」
「歌がうまいところ?」
「・・・・・わからない。 考えれば考えるほど、私は顔が好きになったんじゃないかと思う。 顔で人をすきになった私なんて、私は私が嫌いだ」
「わかる気がする・・・。 自分が本当にその人が好きかどうかはわからないけれど、 でも、好きでいたい気持ちにかられるんでしょう?」
「そう、そうなんだよ!!」
「やっぱり。私も同じこと思うんだ。 一度『好き』っていう風に認識してから、 『本当は好きじゃないのかも知れない。恋に恋しているだけかも知れない』 って疑問はもっても、『好きじゃなくなる』のが嫌なんだ。 ・・・私は心変わりがはやいんじゃないかって不安になるから・・・・」
「そう!!!」
「私は人を好きだと思っても、 絶対いつか『本当は好きじゃないのかも』って悩んで、 結局好きじゃなくなって、どんどん心が移ってしまう人間だと思うのが怖い。 ずっとそんな風なのかと思うと怖い・・・」
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