歌のレッスンをしていて、注意をされて、 私はもちろん一つ一つ直すように努力をしている。 だけど、なかなか直らないことや、できないことというのはあって、 私は「できない」ということに対してとても不安に陥る。
でも、今から完璧にできるなんてことはありえないのだ。 先生に言われてはっと気付いた。 「今からプロにように歌われても困る。 それなら大学行く必要がないじゃん。」 たしかに、大学受験の段階でプロにように歌える人なんて、 東京芸大を受けるような一部の人たちなのだろう。
私の理想は高すぎたのだろうか。 いや、理想は高くてかまわないんだ。 だけど、その高さにたどり着くには、ハードルを少しづつ高くするように、 徐々に階段をのぼっていかなきゃならないんだ。 ずっと上ばかりを見ていては、 自分が階段を上って少しづつ理想に近づいていることに、気付けない。 それが、あまりにゆっくりと着実であるほど。 だから、自分が成長しているのか不安になるんだ。
時には足元を見て、自分が階段を上っていることを実感しよう。 同時に、自分がそのために何かをがんばっているかを確認しよう。 自分が理想になれるかを心配するのでなく、 階段を上ることに、精神をそそぐんだ。
大切なのは、理想に近づこうとする向上心。 そして、そこに至るまでの長い長い階段を見据える、勇気。
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