---□□草原で独り言□□---

2006年09月21日(木) 持ち続ける景色

映画のワンシーンをみるかのように、ときどき再生される光景と記憶。
あたたかい陽のさしこむ温室のろうかで、レモン色の服をきた赤ちゃんの私。たどたどしく大きなカップグラスを両手でつつんで、とどまる牛乳を飲もうとしている。
なんだかあたたかく、ぼんやりと、だけどくっきりと思い出せる景色。そう、私は過去に絶対、この景色のなかにいたんだ。そんな確信をもてる感じの。
こんなにも身近な感じがするのに、客観的にも思えるのは、ずっと昔、幼かった頃にこの光景を一枚の写真でみた、そのせいなのかもしれない。
なぜかこの光景は私の記憶から少しも薄れたり、揺らぐことがない。
なんだか静かなのに、陽の明るさと、陽の温かさと、陽の光がぼんやりとうかぶ音がある。
私はそれらがみちたやさしいところに座っているのだ。
ことばも、かんがえもなく。
だけど、その陽と白とぼんやりとしたあたたかいなかに、私はとこんと座っているのだ。

ただそれだけの景色が。ただそれだけの記憶が、こんなにも私にはいとおしい。


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S.Soraka [MAIL]