悲しいわけではなくて。 切ないわけでもない。 何かを考えるわけでもなくて、ただ髪をもてあそんでいる。 どうかいていいのかも、なにをかこうとしているのかもわからず
ただ、でも思ったのは 今泣きたいということ。
何も考えなくてよかったけれど、 私は私を見つめなくてはいけなくなった。 私は人として、最低のことを守ってきただけで。 他に何か、個性なんてあるのかとか。 最低のことを守った上で、なおかつ個性ある人を見て、 「どうしよう」と泣きたくなった。 自分が普通すぎて、呆れられるのが怖くなった。
私は何を言うべきなのか、何を言ったらいいのか、 何を言ったらまずいのか、何を言ったら後悔するのか。 焦っていたら、 なにを言いたいのかわからなくなった。
ああ、今思い出した。 そうか、何を言っていいのかわからないのだったら 聞いていればいいんだ。 耳をすまして、聴いていればいい。 口を開くことだけが、会話ではないのだから。
私はこんなに、小心者で。 こんなロクでもない私が唯一できるのは、 必ず笑っていること。 泣きたい気持ちを、 そのまま「泣きたい」と思えること。
どうか美しくあれますように。 私が私を好きであれますように。 そして願わくば、 いいえ。なんでもない。
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