あまつばめの雑記
こんばんは。いらっしゃいませ。

2001年12月04日(火) 偽善者は、

日に日に寒くなっているはずですが、
暖房のきいた部屋にいると、実感がわきません。
むしろ、暑さに弱い私。
暖房にやられて顔が火照っています。

自室はいまだに暖房を入れていません。
真冬になろうとも暖房器具は使いません。
問答無用に寒いのが好きです。
心、冷たい分、身体が温かいのでしょうか?




仕事帰り、駅でバス待ちしているときです。
いかにも『おばちゃん』というひとが、駅員さんに向かって、声荒げに話しています。
「血を吐いた」だの、「電車で倒れた」だの、「上司を呼んでこい」だの、なかなか物騒な言葉が飛んできます。
気になって聞いてみると要点はこんな感じです。


〜さっきの電車に乗っていた、同じ車両で男の人が血を流して倒れた。〜
〜この駅で降りてしまったので、倒れた男の人が心配だ。〜
〜どうなったのか教えてほしい。〜


気になるのもわからなくありません。
「人が倒れた」
他人を心配する気持ちは美徳です。
でも、この場所で聞くことではない気がします。

本当にその人が心配なら、電車を降りるべきでない。
何か出来ることがあるなら、その行動を起こせばいい。
知っている人なら、家族に連絡するなり、話しかけるなりすればいい。

単にいるだけでは助ける人の邪魔になる。
そう、判断して降りたのかもしれません。
それなら、電車を降りてしまったということで、その話をする立場にはいないのではないでしょうか。

ここで聞いていること、ひどい言い方をすれば「やじ馬根性」です。
他人を心配する気持ちと好奇心を満たしたい欲望が混濁しています。


駅員のほうも、もうじき閉める時間のため、ぞんざいな対応です。

あっ、書き忘れていました。
この駅、田舎のため、午後8時過ぎの上り電車通過後、窓口を閉めて無人駅と同じになります。
8時過ぎの上り電車がもうじき来る時間なのです。

乗客のプライバシーや不確かなことがいえない立場。
関係ない人にベラベラと喋ることはできません。
安易に「大丈夫です」と語ることもできません。
でも、相手の言葉を聞かず、横柄な口調では、収まる話などできません。


どっちもどっち。口論をしていると、上り電車が到着しました。
ほっといてもいいですが、唯一の出口のところで口論している。今降りた乗客たちが駅の外に出られません。

おせっかいな私、ついつい、口をはさんでしまいました。


場も収まり、待っていたバスがきました。
停留所に並ぶと、『おばちゃん』も並びます。
同じ方向なのです。
思い出してみると、同じ停留所で降りる人。
しかも、隣に並んでくるではありませんか。


「あぁ〜、余計なおせっかいしたし、グチグチいわれるのじゃないかなぁ」と、思っていると、『おばちゃん』が声をかけてきました。



「あの〜、先ほどはどうもありがとうございました」



へぇ?

嫌味を言われると思っていたので、判断できませんでした。
「アリガトウ」
確かに、そういいました。


『おばちゃん』いわく、
「言われてみるとそのとおりで、あたし、自分のことばっかり考えちゃって結構無神経なことを聞いていたようです。
倒れた人のことを考えれば、まったく関係ないあたしが聞きまわることって出すぎた真似だったです。
それに(駅から)出てくる人とかにも迷惑をかけていて、周りが見えなくなっていて・・・・・・
あなたに止められなかったら、あそこでいつまで怒鳴っていたことか・・・・・・・・・」


バスが反転している30秒ぐらいの間、息つぐ間なく、ひたすら感謝されました。



私、身の程知らないバカだから、余計なことして罵られることが多いです。
気になると、後先考えず行動して他人の冷たい視線を浴びることばかり。
それでもやめないのは、自分の中で納得がいかないからです。
眼の前で起こったこと、いつまでも引きずってしまう弱い人です。
悔やみたくないから動き回って、事態をかき乱す愚か者です。
だから、他人のためという口実で自分のことをやる。


私は偽善者です。


だから、喜ばれたこと、
申し訳なさと嬉しさで、


涙が出てしまいました。


私は助けたんじゃなくて、助けられた。
嬉しい不覚でした。


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あまつばめ [MAIL]

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