2002年01月07日(月) |
アスファルトに咲く水の華 |
仕事帰り、用事がないと本屋によります。 何かないかな〜とうろついて、雑誌や面白そうなものを一通り眺めて帰るのが日課になっています。
いつもどおり、うろついて、平積みになっている本を手に取りました。 題名が『オルファルトグラム』。井上夢人さんの本です。 帯を見ると、2月に映像化するようです。BSですから見ることはできませんが。 この井上夢人さんは読んだことがありません。けれど、この作品を知っていました。去年のラジオドラマでやっていた作品でした。 同じ題名で、10回中9回聴いたので題名と作者名を覚えていました。 ラジオでしか知らないので、原作は違うかもしれません。でも、あらすじは『連続殺人鬼に姉を殺された主人公がニオイをもとに犯人を探し出す』話です。 この主人公は犬のようにニオイを見分けられます。嗅ぎ分けるのでなく。 ニオイを形として表現しているのです。 説明下手なので余計にわからなくしてしまったかもしれません。(笑)
場所は変わって駅。それも自宅もよりの駅に降りた時、独特のニオイがしました。 透明で全てを包むひんやりとした香り。 雨が降り始めていたのです。
昔から、雨のニオイが大好きです。 最初の小路地に溶け、集った水面を叩き、あがったあとのお日様とブレンドする、雨の全てが。
小雨だったので、目を閉じて歩いてみました。 ニオイを見られれば、どんな形をしているか、知りたくなります。 アスファルトに咲いた水の華は、知る人なく消えていくのでしょう。
言葉だけでは伝えられないものを、誰かに伝えたい。 ニオイや視覚や気持ちは伝えるのが簡単であり、難しい。 雨音のニオイを全身で嗅ぎながら、そう思いました。
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