| 文ツヅリ | ||
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| 2004年11月28日(日) ★[ 07.過去の傷痕��] |
| ---------- ※『buried in eyes』を先に読んでおくとわかりやすいと思います私の妄想が。 ---------- 「ちょっと」 「んだよ」 「なんで『総悟』って呼んでくれないんですかィ?」 * * * いつもの夕暮れ時のことだった。 見廻りも済んで、再放送のドラマを二人で見ていた。 毎日、ピン子と春恵が喧嘩してるだけだってのについ見てしまう。 今日も今日とて、息子のかずきがもっともらしい口上を並べ立て、本日のピン子にダメ出ししたりしていた。 まったく、女の喧嘩ってやつァネチネチとしつこい。 もっとさっぱりと、拳でぶつかれねえもんか、なんて思いながら含んだ煙を吐き出して、急須を湯飲みの方へ傾けた。 しかし、注ぎ口から出た液体の筋は、すぐに水滴へと形を変えて落ちていくばかり。湯飲みには一口分も溜まらなかった。 「おい沖田、湯ゥ入れてきてくれ」 向かいで頬杖を付いて、CMが流れ出したテレビにまだ釘付けとなっている奴の方に急須を押し出す。 そこに、不機嫌そうな声で返ってきた言葉がそれ。 (どうして下の名前で呼ばないか、だと――?) 「なんだよ急に」 「急? こないだも言いやした」 「いつ」 「アンタとエッチした日。」 「……ッ!!!」 「思い出しやしたね」 頬杖を外してそう言うと、片側の口を吊り上げる。 その態度と言葉に、一気にあの時の記憶がフラッシュバックして、顔が熱くなるのを感じた。 すると沖田は、ますます嬉しそうにうっすりと笑む。 「あの時も土方さん、顔真っ赤にして……」 「おッ、『沖田』でいいだろ!」 それ以上追随されまいと会話を遮るが、不自然に張り上げられた声は、照れ隠しであることが歴然だった。 しかしその言葉に反応したのか、沖田は急に目付きを変えると、間髪入れずに、机に掌を叩き付ける。 「ナメてんですかィ?」 その手に体重を掛け、こちらに詰め寄った。 「それじゃ山崎と同レベでさァ!」 「いいだろ別に」 「良くありやせんよ」 少しだけ身を屈め、睨むような上目遣いで問う。 「俺のこと、山崎と同じ程度にしか思ってないんですかィ」 「それは……」 無理だろう。 ストレスの原因である沖田と、そのストレスのはけ口である山崎が同格? そんなわけない。 寧ろ、そう思えたらどれだけ幸せか。 (自覚がないにも程があるぞ沖田ァァ!!!) ――などとは恐ろしくて言えないので、普通に否定しておく。 「んなことァねーよ」 「ならどうして」 「……お前が、」 煙草を吸って、少し間を置いた。そんな少しの空白にも、沖田は焦れて先を促す。 「俺が?」 「昔、言ったんだろ」 「何を」 「何ってお前な……。とぼけんのも大概にしろよコラ」 「だから、何を?」 「オイ」 いい加減マジになれ、と睨み付けたが、どこまでも真面目に問い返してくるので、ようやく互いの食い違いに気付いた。 (――あれ?) 「もしかして、本気で覚えてないのか?」 「土方さん、俺を怒らせたいんですかィ」 なぜか逆ギレの体であるが、惚けている様子はなかった。 どうやら本気らしい。 わかってて、わざと嫌がらせのつもりでそう言っているのかと思っていた。 それなのに、沖田は大きな目を幾度かしばたたかせるだけで、嘘をついている気配など微塵も感じられない。 (んだよ、それ……) 拍子抜けだった。 (その程度のもんだったのか……) みっともない過去には違いない。 ガキの太刀筋を見切れず、あまつさえ命を脅かされたなど、周りに口外できる訳無い。 忘れているなら好都合。 安心して然るべきではある。 それなのに、 それなのに、込み上げる感情は安堵では決してなく、寧ろ奇妙な苛立ちだった。 あの時、俺が刀を突き付けられた時の驚愕は。 俺が、あの瞳に射抜かれた時の戦慄は。 沖田にとって、その程度のものだった。 記憶にすら残らない程の。 取るに足らないものだったんだ。 ∧ 続 ∨ ×‐‐‐‐‐×‐‐‐‐‐× まーた続いとるよ!!! 毎週土曜日更新をめどに頑張ってたのに、一向に終わらないので一旦アップ。 『男には蛙にさわれて〜』の回が単行本になる前に書く予定だったのに……長いなチクショー。 |
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