水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年01月26日(土) 黒川博行著『鑑』

スルスル読めました。『鑑』は、鑑定や鑑識で使われるところの、鑑です。
事件の被害者と犯人を結びつけるもの、という意味でタイトルになったようです。

ホテルで殺された女性の捜査線上に、ダストハンティングが趣味の男が浮かび
上がります。が、・・。
ダストハンティング、なんて、カタカナにすると一瞬何のことかと思いますよね。
ごみを拾ってくることなんです。えええっっ!・・何、何?でしょ。
イヤですよね。人のごみ袋を集積所から持っていくなんて!!
そして、ごみを自分の部屋でひろげて眺めて、生活を想像するんです!
りんごの皮を見て、うすくむいているからあの子は器用な子や、とか!!

   ≪許せませんっ!≫

取調べ室の犯人と刑事のやりとりが、たたみ込むようにラストに持っていきます。
一気につきすすむ感じでいいですー。

黒川博行著『鑑』は『カウント・プラン』(文春文庫)に収録。44ページ。
昨日の『うろこ落とし』とは逆に、とても読みやすかった16分。
面白かったです。この短編集の中で1番良かったと思います。

『カウント・プラン』を読み終えて、ひとこと・・この刑事さん達、頼もしい!


黒川博行さんは1949年生まれ。
高校で美術教師をしていたとき、'86年に『キャッツアイころがった』で
サントリーミステリー大賞を受賞、デビュー。'96年に『カウント・プラン』で
日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞。直木賞の候補に上がること4回。

新犯罪ミステリの五日間は、暗い気持ちに・・。
せつない物語を渇望している自分に気づいた今夜。
明日は・・せつない系に行きましょうか・・。
じゃ、また明日!


水野はるか |MAIL
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