水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
1月最後の日曜日。いかがお過ごしでしたでしょうか。 ちょっと、せつない物語が読みたくなりました。ホラー、犯罪もの疲れですね。 そこで選んだのは、浅田次郎さんの短編集『見知らぬ妻へ』。文庫本の裏表紙 には、やさしくもせつない8つの涙の物語、とありました。
『鉄道員(ぽっぽや)』『ラブレター』『天国までの百マイル』で、この方の せつないモードは確認済み。それでは、8日間、浅田次郎さんのせつない世界に そっとひたってまいりましょう。← ひらがなでせつなさ受け入れ態勢に・・
最初の物語は『踊子』。 30年前のひと夏の恋・・僕が愛したひとは踊子だった・・。
離婚した両親がそれぞれ別の相手と家庭を持ったため、高校生だった僕は ひとりぐらしをすることに。歌舞伎町の大きな踊り場で踊るナオミと僕が 初めて話をしたのは、店に警察の捜査が入った夜。店から逃げた僕が刑事に 見つかりそうになったとき、居合わせたナオミは僕に長いキスをして、恋人同士 のようなふりをしてくれたのだった・・・。
恋をした夏、昆虫のように殻を捨てた僕。ナオミは、僕の青春のまぶしい 1ページだった・・。
・・・せつない、というより、さびしいですね〜。
離婚した両親は、僕より新しい家庭を大事にしているようで、会いにいく僕に すぐお金を渡して帰すあたり、少し苛立ちを感じます。 ナオミのキモチが、いまいち、よくわからないんですが、・・遠い昔のことなら それでいいのかもしれないですね。思い出は、思い出すたびに、きれいに 書き換えられていくのかもしれないです。 彼女を思い出しながら、実の所は、自分をなつかしんでいる、そんな気がします。
浅田次郎著『踊子』は『見知らぬ妻へ』(光文社文庫)に収録。33ページ。 しっとりした24分。
それにしても、おませな高校生ですぅー。。んひゃ!どきどき。。 踊り場って、時代を感じますね〜。
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