水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2002年01月28日(月) |
浅田次郎著『スターダスト・レヴュー』 |
世の中は公平なようで、公平じゃなく、誰を愛してもいいようで、愛しては いけないひとがいて、禁じられた出会いなどないようで、見えない柵があったり するものです。
愛したひとに愛されたなら幸せだと他人は思うでしょう。愛した人は、美しく、 ヴァイオリンの才能豊かで、家は裕福・・。音楽家を目指す僕にとっては、 「しめた」と思うような恋だった・・愛したことに偽りはなくても・・。
クラブ『スターダスト』でピアノを弾いている飯村を訪ねてきたかつての友人、 小谷。彼は、交響楽団の音楽監督になっていました。 そして、小谷の自慢の妹、節子は有名なヴァイオリニストに。 小谷は、節子が帰国してのコンサートで、飯村にバックでチェロを弾いてほしい と頼みますが・・・。
音楽家になるって、お金がかかるんですよねー。高価な楽器、ヨーロッパへ 留学、偉い先生に師事して、それで初めてソロ・プレイヤーになる資格が 生れるというのですから、大変ですねー!飯村がオーケストラをやめた理由が わかりやすいほどわかりやすくて、悲しくなりました。
そうなんです。この物語、頷き頷きページを捲れる、わかりやすいお話です。 飯村の屈折した気持ちが痛いほどよくわかって、先取りでせつなく悲しく・・。 浅田作品は世俗的といわれるところのような気がします。 世俗的、いいじゃないですか。。泣かせようとしてる、いいじゃないですか。 無理のない設定、丹念な人物描写、ていねいなセリフ・・好きです〜♪
浅田次郎著『スターダスト・レヴュー』は『見知らぬ妻へ』(光文社文庫)に 収録。36ページ。せつなさを先取りしながらの25分。 浅田さん、音楽にもお詳しいのでしょうか・・クラシック好きな方にも おすすめしたいです。
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