水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年05月08日(水) 宮部みゆき著『布団部屋』

ホラー・アンソロジー、「七つの怖い扉」(新潮文庫)の二番目の扉を開けた
ら、そこは、江戸時代でした。怖いというより悲しいお話……。

代々の主人が短命であることで知られる酒屋に奉公にあがった少女が、女中頭
に布団部屋で寝るように言われます。新しく来た奉公人を布団部屋に連れてい
くこの店の習わしには、大きな意味があったのです。

もののけ? 妖怪? 魔物? 鬼?

怖い話のはずなんですが、なんだか胸に迫るのは悲しみなんです。
この少女の奉公人としての日々が、叱られないようにと必死で、せつなくなって
きます。まだ11歳、おゆう! がんばって!

そして、女中頭が背負った人生は重く……。

いつの世でも因果はめぐり、過去のできごとに苦しむのは、今を一生懸命生きる
人なのでしょうか。作者の伝えたい事(たぶん)が、まっすぐに伝わります。


次のお話は『母の死んだ家』、高橋克彦氏。
怖そう・・。



水野はるか |MAIL
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