水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年10月24日(木) 田中小実昌『夏の日のシェード』

日本を離れ、アメリカの西海岸、カナダとの国境に近い町で暮らしはじめた
ミヤと「ぼく」。のんびり屋のミヤとせっかちな「ぼく」は、お互いの性格を
わかっていながら、腹を立てたり、自己嫌悪に落ちたり……。

なぜ、ふたりはこの町へ来たの? なぜ、外国へ?

素朴な疑問を抱いたまま読んでいたら、ラスト近くに「ぼく」が答えてくれま
した。「ミヤと外国にいこうとおもったとき、当然のようにこの町にくること
にしたのに」・・そっかー、わかるような気がします。
誰かを好きになろうと思ったとき、当然のようにキミだった、と言われたよう。

ミヤをどうしようもないほど愛しいと思う「ぼく」に、なつかしい思い出を反芻
するような、せつなさを感じずにはいられません。

「せつない話第2集・山田詠美編」(光文社文庫)第五話は、胸きゅん。


せつなさ:☆☆☆☆☆
この町は、シアトル。でしょ?


水野はるか |MAIL
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