水野の図書室
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2002年11月27日(水) 浅田次郎『角筈にて』

「角筈」は「つのはず」、新宿・歌舞伎町のあたりを昔は角筈と言ったそうです。
『角筈にて』は、大ベストセラーになった短編集「鉄道員(ぽっぽや)」に収録
されていたので以前読んだことがあったんですが、じっくり読んだら、またまた
涙・涙でした。

東大を出て商社マンとして華々しく活躍し、プロジェクトの失敗で左遷となった男
が、壮行会の帰り道で、幼い頃自分を捨てた父親の姿を見かけたことから半生を振
り返ります。叔父夫婦の家での生活、猛勉強しての東大入学、兄妹のように育った
女性との結婚……企業戦士としての役割から解き放たれたとき、いつも自分の傍ら
で支えてくれていた妻の大きな存在に気づくのです。

涙、涙のお話ですが、ラストの明るさは浅田次郎ならではですねー。
泣かせっぱなしじゃないところが好きです、浅田次郎作品。良かったです。

短編なのに、すっごく満足・・『鉄道員』『ラブレター』は、短編でも映画化されました。
映画にできる短編小説、が浅田次郎を語るキーワードかもしれません。1月に読んだ
『スターダスト・レヴュー』(「見知らぬ妻へ」収録、光文社文庫、2002.1.28記)も、
できたら映画化してほしいです。音楽映画を見たい今日この頃・・。


水野はるか |MAIL
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