水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
| 2003年04月25日(金) |
恩田陸『曜変天目の夜』 |
すっきりしたカバーデザイン(中原達治)が、どことなくFranc franc を連想させる 恩田陸の「象と耳鳴り」(祥伝社文庫)を読み始めました。12編の短編集です。 この本を読みながらゴールデンウィークを過ごすことになりそうです。読むのは 速いと言われるんですが、余韻に浸っていたいので、一日一話が適量なんです。笑
『曜変天目の夜』─ 国宝の茶碗が公開されている美術館で、関根多佳雄は倒れた 老婦人が目の前を運び出されていくのを見て、自分が何かを思い出しかけていると いう予感に襲われます。天目茶碗が記憶の彼方から連れて来たのは、10年前に謎 の死を遂げた老司法学者のこと。 その死の真相は……。というお話。関根多佳雄は、デビュー作「六番目の小夜子」に 登場した関根秋の父で、裁判官を退職して今は悠々自適の生活という設定のようです。
連想に次ぐ連想で真相に迫りながら結論は出さないあたり、この茶碗の深遠さを感じます。 ロジックで詰めているはずが、いつの間にか心地良い叙情的雰囲気に。 ──きょうは、ようへんてんもくのよるだ。・・か、カッコいい!!
ふと、恩田陸の『ある映画の記憶』(「大密室」収録、新潮文庫、2002.02.15記)を思い 出しました。幼い頃に見た映画の記憶から叔母の死の謎を解いていく新しい密室も ので、すっごく良かったです。
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