水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年05月03日(土) 恩田陸『給水塔』

風薫る五月、爽やかな季節ですね〜。今日もいいお天気でした。
このところスローリードで、更新ものんびりです。
先月末から、恩田陸の「象と耳鳴り」(祥伝社文庫)を読んでいるんですが、
恩田陸は、雰囲気を活字にするのが巧いなぁと思います。
今日は三番目のお話、『給水塔』。

関根は、散歩仲間の時枝満から『人喰い給水塔』と噂される給水塔に案内
されます。妖気漂うような古い給水塔の周辺では、不可解な事故や事件が
起きているというのです。時枝の話から、関根は、給水塔に何か犯罪が隠
されていると推理するのですが……。

給水塔の不気味さがじわじわ立ち昇って、もぉ〜ゾクゾクしてきます。
『曜変天目の夜』『新・ D坂の殺人事件』同様、ラストが曖昧ですっきりしま
せん。んー、モワモワしたまま・・はっきりした答えが欲しい!
でも、犯人の告白みたいなのがないからこそ、この雰囲気が楽しめるんで
すよね〜。

わたしにとって、「塔」には誰かが幽閉されている図が浮かびます。
子どもの頃読んだ童話にあったんです。塔に閉じ込められた姫のお話。
その時、塔=怖い、と刷り込まれたのかもしれません。


水野はるか |MAIL
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