水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年07月13日(日) 阿刀田高『暗い金魚鉢』

海外へ転勤する隣人一家から金魚を譲り受けたフリーライターは、幼い頃に
父親から「金魚を飼ってはいけない」と言われていたのを思い出します。なぜ、
金魚を飼ってはいけなかったのか──今は亡き母の思い出と、どこか心に
引っかかる母のしたこと……記憶が記憶を呼び、憶測が憶測を増幅し──。

暗いですね〜。金魚鉢は元来明るいもの、のような気がしますが、ここでは、
どんどん暗い影を落としていきます。

もし、この主人公の推理が正しかったら、あまりに哀しいです。確かめることが
できないのが、救いのような、もやもやとした後味の悪さのような・・。

「─殺したい人がいるかな─ いないでもない」─ キャー!インパクトありすぎ!
ビシッッと作品が締まりました。元々、無駄のない短編なのに、このラストは
余韻を残しながらストンと幕を下ろす感じでわたし好みです。


水野はるか |MAIL
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