水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2005年01月06日(木) |
鈴木光司『枝の折れた小さな樹』 |
家族の死というのは、高齢でも、諦めがつくものではないとよくいわれます。 80歳でも90歳でも、ここまで生きたのだから充分だなんて思えないですし、 あと1年、半年でも、まだ生きられたのではと、思いたい。でも、気持ちに ひとつ区切りをつけるためにも、与えられた寿命だったと思うしかないんです。
高齢者でも、その死を受け入れるのは、容易なことではないのに、10歳の 愛娘が病気で死んでしまったら……残された家族の悲しみは、想像の範囲 でしかなくても、胸を塞ぎます。『枝の折れた小さな樹』は、10歳の娘を失い、 悲嘆にくれる父に、妹思いだった兄がCGを使って、送ることができたであろう 幸福な一生の映像を見せる物語。小学校4年の夏に死んでしまった娘は、 バーチャル映像の中で、憧れの学校へ進学し、結婚して子どもを持ち……。
どんなに悲しみにくれても、残された家族は、毎日を暮らしていかなければ なりません。死んでしまった者にも、愛する者の死という苛酷な試練があり、 平凡ながら幸福な人生だったと思い巡らすことで、また歩き出せるのです。
いろいろ考えさせられて、ずっしりきました。
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