水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
表題作『姫君』、あとから、ほんわりきました。良かったですよ。
これもひとつの純愛ですか?高慢で女王様気取りの姫子と、定食屋で 働くまじめな摩周のお話です。ふたりの出会いは、食堂街の路地裏。 ゴミバケツを開けていたホームレスの姫子を摩周が連れて帰ったこと からふたりの暮らしは始まります。
傍若無人な姫子の態度に摩周は腹を立てることもなく、それどころか、 痛めつけられるほどに嬉しそうな摩周。。。いじめ役といじめられ役に 徹するふたりは、恋人たちには見えなくても、もっと深いところで、強い 絆で結ばれていきます。そして、ラストは出会い以上に……。
支配しているようで、実は、支配されている関係に気づくとき、いろんな ものが見えてくるのかもしれないですね。愛とか恋とかだけじゃなくて。
朧月夜の出会いから、季節はめぐり、再び春へ。さりげない描写の中に 暑さ寒さが自然に感じられて、ふたりの1年をそっと見守った感じです。
支配といえば、以前書いたような気もしますが、「別荘と愛人は大変だ」 と、誰かの本で読んだことがありました。支配しているつもりが、逆に 支配されてしまう。所有物に振り回されることになるということらしいです。 お持ちの方は、ご用心!
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