水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
「闇に香るもの」(新潮文庫)の棹尾を飾るのは、勝目梓『棺の中』。 今回の“香るもの”は、アクセサリーです。ふとしたことで関係を結んだ女に 18金のネックレスとイヤリングを贈った男。愛情はなく、はずみで始まった 情事は何も残さず終わったはずでした。女が死ななければ。女が、この アクセサリーを棺の中に入れて欲しいと言い残さなければ──。
お葬式で、死んだ女に夫がいたことを知るなんて……。 はずみにも、ほどがあるでしょう!! 何気なく贈ったプレゼントのことで、夫に呼び出される男。 夫はこの男をどうしたいのか、夫自身わからないようですが、うーむ、 わたしもわかりません。こんな夫のココロ。男も然り。
夫vs妻の恋人、というより、夫vs妻の夫に対する憎しみ、のような図式が 浮かびます。言葉にできない思いを持て余すふたりの男対決が、 妙になまなましく、せつないですねぇ。
「闇に香るもの」(新潮文庫)、どの作品も強烈ですが、特に印象に残るのが、 東野圭吾『栄光の証言』。誰の身にも起こりそうです。
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