水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
北村薫「遠い唇」(角川文庫)は謎解きの短編集だと思っていたら、 6番目の『ゴースト』を読んで、ん?
これまでと雰囲気が変わりました。 付記を見たら、 『ゴースト』は「八月の六日間」の主人公の心を描く習作─とのこと。 うーん、それではと、「八月の六日間」を先に読むことに。 「八月の六日間」は、文芸雑誌の副編集長をしている“わたし”が山歩きの魅力に出会うお話。 “わたし”とは、『ゴースト』に登場する朝美なんですね。
小さな行き違い、気持ちとは裏腹の作り笑顔……あぁ、わかります。
『ゴースト』の冒頭に引用されている短歌が印象あざやか。
「鬼などは来ぬやもしれぬ恍くわうと身をおしつつみ菜の花ばかり」 〜河野裕子
感性を刺激されます。いろんな意味で、北村薫は刺激的。
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