TOI,TOI,TOI!
やってることが両極端だなーと自分でも思うのです。バロックを専攻しつつ、一方ではこれ。 ドナウエッシンゲンの現代音楽祭の本番がこの週末にあります。この音楽祭、作曲家の登竜門らしいですね。 参考までに http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%B3%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E7%A5%AD
もうね、なんだろうね。今の最前衛中の最前衛はこれなのかと。選ばれし名誉ある作曲家達の委託作品がこれか、と。いい曲と思える曲が皆無。南西ドイツ放送響は2つのコンサートでオケ作品を合計6曲弾くんです。私のように6曲中5曲に乗ってる人もたくさんいます。その中で特にF氏の作品にはイライラの極致。
こんなにイライラさせられるものが、”音楽”なのか、と素朴な疑問が沸いてくるんだけど、でね、オケの奏者に文句言われた作曲家達や指揮者はこう言うわけですよ。
譜面に書いてあるものの30パーセントの出来で自分達は満足だ。100年前は演奏不能だったものが、現代は30パーセント可能になった。喜ばしいことだ。 そしてそれを依頼できるのも全国であなた方だけです。
褒めてるつもりだろうが全然うれしくない。見当違いに持ち上げられても、かなり寒い。
「じゃ、200年後には100パーセントになるとでもいうのかよ。ふざけんな。」
と後ろのホルン当たりから怒声。
同感。演奏技術が発達した、というのを演奏家でもない人に勝手な解釈で語らないで欲しい。昔の人より今の人の方が上手いとか頭がいいとかは絶対に思わない。そもそも現代人がどんどん失っているもの、というのも得たものと同じだけあるんじゃないの?そんな風な自分達が格上だみたいな最も優れているみたいな発想、大嫌い。
なんかそんなこと言われるとやる気と興味が0パーセントになる。仮に結果が30パーセントの出来だとして、そのために100パーセントの労力を影で費やしてると言うことをご存知?そしてストレスというものの存在もご存知かしら?仲間がいての団体なのですから、一人だけさぼるわけにはいかないのよ。
Fの譜面はなにしろ音、拍子、リズム、奏法、Div.、全てがもんのすごく複雑に書かれていて、理解するのに頭を使う。拍子が1小節ごとに変わるのはもはや当たり前、16分の11拍子やら32分の13拍子やら、そのなかに7連やら10連やら、で更に複雑なリズムが伴うわけですよ。指揮者が拍を1小節に4つ振ってて、その小節を7等分したのの3つ目でBartok Pizz!なんて、16人のグループで合うとでも思ってんだろうか、作曲家さん。 譜面をもらってから譜読みを曲の始めから真面目にしていって合わせ当日までに譜読みが終わっていた人なんていないと思う。
ある日はオケのVorstandから、公に作曲家達への苦い一言。
「3ヶ月は譜読みに時間がかかるようなこの曲を、1週間前になっても譜面が我々の手元に届かないというこの状況は、今後変わらないといけない。この機会にはっきり言うけど、こんなのは金輪際お断りだ!」
オケから大拍手。
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