Opportunity knocks
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三島由紀夫「午後の曳航」 久しぶりに(比重の)重い小説を読んだという感じ。 わたしが今まで好んで読んでいた小説というのは、形にならないものや目に見えない感情なんかを文章に興していくようなそんなタイプの小説だったのだけど、三島由紀夫はまったくそうではない。何て言うのかな、これ以上はないっていうくらい確信的に言葉を使う。そしてその世界は破壊に満ちている。何かを作り上げるという行為とは対極にすべてを壊したいばらばらにしたいこなごなにしたい、そういう衝動のようなものが文章の端々に感じられる。 前回読んだ時は猫殺しの場面で耐えられなくなって本を閉じたのだけど、今回は最後まで読む事ができた。感受性が鈍くなったのか耐性ができたのかすべてを包容する強さが生れたのかはよくわからない。
最後まで諦めないってよく使ったり言ったりする言葉だけど、人生において何かを上手く諦めることもそれと同じくらい大切なことなんじゃないかなと読んでいて思った。「諦めないこと」が自分の中で積もりに積もってしまうと、人は見えない何かに縛られたように身動きすることができなくなるんじゃないだろうか。 そんなことを思った。 今度は「金閣寺」を読もうと思う。
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