2001年12月17日(月) |
G2プロデュース「天才脚本家」と神戸ルミナリエ |
初めてのG2プロデュースの観劇。 ビデオで「12人の入りたい奴ら」を見た時には、 そのおもしろさには驚愕したものです。 で、念願かなって 友人からのお誘いで幸運にも今回、生で見ることが出来ました。
やっぱり期待を裏切らない出来でした。 脚本は、「12人〜」とは全く異質なもの。 ドタバタコメディーを想像したいたのが、 じつはけっこうシリアスなもの。
さまざまな事件の裏には、 国民の記憶、感情からその事件を消し去ってしまう 組織が存在する。 何もかもを消し去ってしまうイレイサーと呼ばれる人物。 それに立ち向かうのは、 無い物をある物に見せかけるのが得意な インチキ・サイエンス番組のプロデューサー。 なんでも消すことの出来る魔法と なんでも出すことのできる魔法はどちらが強いのか・・・。
芝居が始まって、期待していた物とは全く違う内容に 少々戸惑った。 ちょっと気を抜くと話の展開から取り残されそう。 朝早く大阪まででかけたことも手伝って、 眠気が・・・。
そんな幾多のボクにとっての危機を救ってくれたのは 「12人〜」にも登場した 遊気舎の久保田浩演じる羽曳野の伊藤なるキャラ。 ストーリーの大筋とは全く関係のない役柄ながら 彼が出てくるたびに、劇場が盛り上がる。 観客が伊藤の登場を待っているのがわかる。
全体として、 プロデュース公演だから当たり前かもしれないけど、 役者の粒がそろっていて、飽きさせない。(←眠くなったくせに・・・) それでいて長く一緒に芝居を創ってきた劇団のようなまとまり。 それぞれの役に見せ場があり、(登場回数の多い、少ないに関係なく) 役者それぞれがすばらしい個性でそれを演じきっている。
特に印象に残ったのは 立身出世劇場の関秀人。 MOTHERの「シャイバン」で彼の演じた裁判長で、のらりくらりしながら、 筋の通ったキャラが印象に深かった。 が、今回はハードボイルドっていってもいいかな、 身体も使うし、はっきり言ってかっこいい。 いろんなキャラを演じ分けられる引き出しの深さに恐れ入る。
あとは照明なんかのアイデアにも 「やられた」って感じのがいくつかあった。 舞台上に置かれた、いくつもの立方体のあるセット。 その立方体の中に仕込まれた明かりや、 その一つが赤く点滅して、踏切や留守番電話にしてみたり、 なんてことないけど、でも、なぜだか「やられた」って思う。
場内が一番盛り上がったのは、 腹筋善之助と久保田浩の2人の延々と続く戦い(コント?)。 ボク的には何度も見ていると さすがに腹筋の芝居は飽きるかも・・・。 でも、あの身体の鍛え方は半端じゃないんだろうな。 役者たる物、身体がお客さんを感動させる武器なんだと 一番感じさせてくれる役者であることは間違いない。
最期に久保田と腹筋がオチをつけてくれたおかげで、 すっきりとした気持ちで劇場を後にできたかな。
観劇の後、せっかく大阪まできたのだから、 期間中の神戸ルミナリエを見に行かないか、と友人3人に提案してみる。 みんなそれぞれ、普段ハードな生活をして疲れているだろうけど、 なんとなく意見が一致して、いざ神戸へ。 途中、渋滞なんかもあったけど、なんとか夜6時すぎに神戸に到着。 しかし、駐車場がみつからない。 土曜日だったため、どこもかしこも満車。 それどころか長蛇の空き待ちの車の列が・・・。 半ばあきらめかけた時、 偶然タワーパーキングからでてくる1台の車を発見! ガラス越しにジェスチャーで「大丈夫?」 と係のおっちゃんに問いかけると、 「どうぞ」のジェスチャーが返ってきて、 おっちゃんは看板をくるりと満車に変えた。 ちょうどボクらで満車になったのだ。
「やったー」ってんで車を預け、 いざルミナリエへ。 まさに初詣の熱田神宮のような状態。 順路を進む人に流されながら歩く。
ボクは以前、友人の結婚式が神戸であったときに すでにルミナリエは体験済みでした。 そのときは、ただ、きれいだなぁ、との印象だけでした。
でも、もともとルミナリエは阪神大震災で亡くなった方の鎮魂と 復興をめざす神戸の人々を励ます意味ではじまったもの。
初めてルミナリエを見て何年かたち、 キャラメルボックスの影響で 阪神大震災のことを考える機会があり、 今回の印象は前回とは違う物でした。 (キャラメルボックスは、第2のホームグランドである神戸への思い入れが強く、関東大震災を舞台にした公演をしたり、震災で両親をなくした子ども達の施設に、ポストカードの売り上げを寄付したりしています。)
今回のルミナリエで、ボクの見ていた物は数え切れない数の電球のイルミネーションではなく、 それを見ている人たちの「笑顔」でした。 生きているってこういうことなのかな、ってなんとなく感じました。
そんなこんなの大阪観劇でした。
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