日々雑感
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2001年12月07日(金) 夕方に町を歩く

読んだり、書いたり、調べたりするために家の中にいることが多い。今日も部屋にこもっていたのだが、用事で外に出てみて驚いた。ほんとうによく晴れて、いろんなものの輪郭がはっきりしている。空気も冷たくて身体がすっとする。こんないい天気に何やってたんだろうと思いながらぶらぶら歩く。どんどん先まで歩いていきたくなる。

荷物を置きにいったん家に戻ってもう一度外に出ようと思ったのだが、いろいろやっているうちに夕方。「しまった」と思ったが外はもう薄暗い。

このままでは悔しいので、図書館に本を返しがてら外に出る。近くは商店街なので夕飯前の買い物をする人たちがたくさん行ったり来たりしている。昼間よりかえって賑わっているくらいだ。お店や町のあちこちに灯りがともる。帰り道の小学生。自転車で通り抜ける人もいる。「夕方に歩いてて寂しくならない町は自分にあっている町」と友人に聞いた。だとすれば、この町とは相性がいいのだろう。

はじめて外国へ行ったとき、到着直後はビクビクして緊張していた。けれど、やはり夕方、ひとりで宿の周りを歩いてみたらだんだん楽しくなってきた。庭の手入れをするおじいさんが見える。遊んでいる子どもたちがいる。そして、その横を歩いている自分がいる。境界線がほどけて「同じ空気の中にいる」と実感し、安心したのだと思う。昼と夜の狭間。夕方は何かが「ほどけやすい」時間帯なのかもしれない。

夕方に歩いていて寂しくなる町というのは、ほどかれたとき、そこの空気に自分がなじめないということか。

図書館で池澤夏樹『マリコ/マリキータ』『楽しい終末』を借りる。帰り道はすっかり真っ暗。夜である。


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