日々雑感
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朝から雨。部屋の中で雨の音を聞いていたら、不意にいろんな雨の日のことが思い出されてきた。傘を差して歩いた通学路や、遊具も草も濡れた公園。年齢も場所もバラバラの様々な雨の日の記憶である。雨の日はいつもこうだというわけではない。何かの拍子でスイッチが入り、自分でも忘れていた風景が次々と流れ出してきたようで、驚いた。
こんなふうに、何かを「スイッチ」にして、堰を切ったように生々しく記憶が蘇ってくることがある。例えば、ある冬の夜、積もった雪の上を歩いたとき「私は確かにこの感触を知っている」とはっとした。と同時に、雪の感触だけでなく、冷たい空気や冬の夜の匂いや、そうしたものも思い出した。自分が過ごしてきたいくつもの雪の日。(生まれ育ったのは雪の多い地方だった)
記憶とは何か。すっかり忘れてしまったと思っていることが、何かの音や感触や匂いをきっかけにしてうろたえてしまうほど鮮やかに蘇ったりするのだ。私たちが見てきたこと、感じてきたことは、すべて深く沈み込んでいて決してなくなりはしないのだろうか。そして、何かの拍子に浮かびあがってくるのだろうか。「雨の音」で検索するとそれを含んだ様々なイメージがすくい上げられるように。
雨は昼過ぎにはあがった。週間天気予報を見ると、明日からはずっと晴れ。
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